サラ川の“ご意見番”こと、やくみつるさんが
『サラっと一句!わたしの川柳コンクール』へ作品を応募しようと考えている皆さまに、
ネタの見つけ方や流行語の使い方を伝授。“やく流”のサラ川攻略法を紹介します。
川柳のネタを探していても、
そうそう見つかるものではありません。
ここでは、やくみつる流のネタ探しのコツを伝授します。
皆さん、日々の生活の中で川柳の元になる「種」を拾ってるはずなんですよ。それに、いかに気づくかが大切。私自身も、日々マンガをこしらえる中で、何かピンと来ることがあったり、気になる言葉や面白い場面に遭遇したときには、とにかく、どこにでもいいからメモするんですね。携帯電話にメモすることもしょっちゅう。特に初耳の言葉や名称などは耳には入ってきても、すぐに忘れてしまいます。のちのち川柳に詠もうというのであれば、何かしら残しておくのが得策。詳しく書き込まずとも、ちょこっとメモしたネタから面白い作品も生まれたりするものです。
皆さん、いざ応募しようと思って急に机に向かうわけではないでしょう。やっぱり応募されるぐらいの方は、日記代わりぐらいに、作り続けていた方が良いでしょうね。1日1句作るぐらいの気持ちで。毎日何かしら変わったことって起きますよね。ニュースで流れる情報に限らず、日常の中でもおかしなことが起こる。それを是非、書き留めておいていただいて、その中から一句二句応募すると、相当なレベルの作品を出せると思うので。思わず唸らされるような句を期待しています。
サラ川の定番といえば、流行語を取り入れた作品。多くの人が取り入れる言葉だからこそ使い方が重要。そんな他の作品を出し抜くための流行語の使い方を伝授する!
『サラっと一句!わたしの川柳』、略して『サラ川』には落語でいうところの古典と新作ネタがあります。普遍的で、十分に知れ渡ったネタや言葉を使って、家庭内のささやかなグチや、職場での人間関係などを詠むのが古典。最新の流行語を取り入れ、最近の時事ネタを詠むのが新作。ところが、古典ネタを詠みながらも、そこに巧みに新しいワードや流行語を入れてくると、他の類句と一線を画すことにもなって審査員の目を引きます。ここが選ばれるコツです。
流行語はサイクルが早いので、応募する段階になったら、もう何のことやら、みたいになるケースもあるので注意した方がいいですね。
これはあくまで私の考えですけれど、流行語の第二集団とか第三集団を狙った方が目立てるかもしれないですね。それでも第一集団から取るという意気込みもよろしいかもしれませんけれど。流行っているけれど、他の人が詠み込んでこないだろうなという言葉を使われると上手いなと思います。
これまで、何万という作品を審査してきた、
やくみつるさん。
多くの作品の中から目を留めさせる「ツボ」を伝授!
私は時事マンガを仕事としていますので、新生『サラ川』を拝見する際にも、やはりその年に起きた出来事や流行語を、文字通りサラッと詠んだ作品を期待します。
ただ、選考に携わる複数の人の嗜好はこれまたさまざま。時事に頼らず、微妙な心理の“あや”を詠み込んだり、あるいは川柳で何かを声高に主張することだってできます。
それだけ自由な世界と言えますよね。
(第35回サラリーマン川柳コンクールより)
勤務先であれ、ママ友同士の公園での会話であれ、これは“あるある”でしょう。これがあるから、今後もマスクははずせないかも。
(第35回サラリーマン川柳コンクールより)
これぞまさに古典ネタと新作ネタの融合。家庭におけるお父さんの悲哀は今に始まったことではありませんが、衛生面での配慮を持ち出されたら反駁しようがありません。ジェンダー・フリーが喧伝される中、こんな古典が「持続可能」なネタなのかも気になるところではありますが。
(第35回サラリーマン川柳コンクールより)
激しく同感!!
もちろん若い詠み手の方たちにもドシドシ投稿いただきたいのだけれど、昭和世代の心の叫びの“持って行き場”もありませんとね。そんな世代間の攻防がユーモラスに展開するのが新生『サラ川』の見せ場であってほしいものです。